５：ダッフルコート

服の形（デザイン）には、必ずといっていいほど、背後に隠れた思想があります。

それは、歴史的背景だったり、デザイナーの思想だったり・・・

それを知れば、おのずと着合せがわかるはず・・・

さて、ダッフルコートと参りましょう。

ダッフル(Duffel)

ダッフルコートは、ベルギーやオランダの漁夫に親しまれた防寒用外套です。

「ダッフル」はベルギーのアントワープ市に近い町の名前ですね。

この町で作られた粗製の毛織物が「ダッフル」と呼ばれて、

海の男たちが外套に仕立て漁に出る際に重宝しました。

18世紀頃イギリスからアメリカに向けさかんに輸出されましたが、現在ではもう廃れてしまいました。

ダッフルコートの原型は、フードが付き、両前合わせ、大きなヨークと大きな張りポケット、

膝辺りまでの丈、裏地無し・・・ですか。

素材は主に圧縮ウール地ですが、最近はポリエステルやフリースなどの生地を用い、

形状のみを活かしたものもダッフルコートと呼ばれているみたいです。

ダッフルコートで、特に特徴的なのは、トグル (toggle) という留め具ですね。

もともとは、このトグル。

釣り用の「浮き」なんです。

素材は木や動物の角（つの）です。

ええ・・つまりやっぱりダッフルコートは、漁師さんのコートだったんですね～。

ダッフルコートで有名なのは、イギリスのグローバーオール社です。

やはり元祖はイギリス・・・ということになりますか。

そして、第二次世界大戦ではイギリス海軍が軍服として正式に採用することになります。

まちがえて海に落ちたときなどに、水の中からでも生還できるよう工夫を凝らしているダッフルコート。

実用性と機能美に惹かれた英国の陸軍将軍の一人が、第二次世界大戦時に、これを愛用し、

追って海軍が経済性と有用性に目をつけて軍に採用し、

戦後軍用品の放出によって巷に広がり、人気が出るんですね～。

またダッフルコートは別名コンヴォイコート(convoy＝護送艦隊の意)ともいわれています。

これはダッフルコートに目をつけたアメリカ空軍が、「B-49コート」というフード付き、

ダブル･クロージャー(内側をジッパーで留め、外側はボタン留めの二重フロント)の

防寒コートとして改良したからなんです。

さて、このダッフルコートですが、今では男女問わず着られています。

色も茶色から紺色から、実に様々・・・

私はこのダッフルコートって着たことないんですが、たまにかっこ良く着こなしている人を見かけますね～。

私なりの意見としては、ダッフルコートはカジュアル思考・・・つまり普段着でしょうね。

たまにビジネススーツの上からダッフルコートを着ている若いお兄ちゃんを見かけますが、

あまり感心しません。

いかにも学生気分が抜けてない空気が漂ってます。

やはりこのダッフルコートは・・・元々が海とつながりが深いだけに・・・

個人的に言えば、裏打ちのないダッフルコートなんざ、寒い海釣りの時に着ていくものではないと思います。

冬の海ってメチャ寒いですからねえ・・・

しかし・・・シブイじゃありませんか・・・

ダッフルコートを着て、フードを深くかぶって、タバコを吸いながら、魚がクワえるのを静かに待つ・・・

ん～～～釣り師はこうでなくては！

街着として着る場合は・・・そうですね・・・。

年齢を考えて着るべきでしょうね。

まあ・・・４０歳を限界としておくべきでしょうね。

それ以上となると・・・なかなか似合わなくなってきます。

おばさんがダッフルコート着ているのを見ると、若作りというよりも、みっともなく見えますねえ・・・

みたいな

あと、このコートはカジュアルではあるんですが、案外、ジーンズと相性が良くないですね。

今のファッション感覚なら、なんでもジーンズと合わせてしまいますけど・・・

このコートを着た場合・・・たとえば・・・

ボトムはチェックのウールのパンツみたいなのが良いような気がします。

ええ・・・やっぱりヨーロッパ生まれですから、品が良いんですな。

あと、ダッフルコートは、「ほっそり」と着てください。

中にあまりゴタゴタ着込まないで、あくまで「ほっそり」と・・・

体型的にも、細い人が似合う気がしますねえ・・・

いや・・・全ての服はそうかもしれませんが、このコートは特に・・・

トグルの効果によって、胸に横ラインのアクセントがつくでしょ？

体型が細いと、このラインが逆に体型の細さを強調するんですが・・・

太ってる人だと、逆に幅広のアクセントになるんですね。

ダッフルコートは、太ってる人は遠慮したほうがよさそう・・・

ばい　しんどばっと・・・・・2005/1/27より