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う〜ん・・・

実はこの話は書こうか書くまいか、半年程悩みましたが・・・

ま、書きましょう。


実は、この I おじさんのスーツ。

私が今までの人生の中で、もっとも衝撃を覚えた服です。

この「思い出の一着」というコーナーを作った時、まっさきに思い浮かんだのも、この服です。

なぜ今まで書かなかったか・・・というと・・・

まあ、それは読んでもらえば分かりますw


さて、では始めましょうか。


I おじさんというのは、私の親父の兄弟の長男坊にあたる人です。

私の親父のトコロは13人兄弟なんです。

で、ウチの親父が末っ子で、この長男さんが一番年上。

兄弟なのに、30歳も違うんですね〜。

まあ・・・間に11人もいりゃねえ・・・


この I おじさんは、事業で成功したお金持ちで、地元の商工会の副会長もした事あります。

いつも運転手付きの黒塗りの車で、ウチの家に遊びに来てましたね〜。


イギリスのチャーチル首相って、いたじゃないですか?

第二次世界大戦時のイギリス首相です。

あれにまさにそっくりの風貌なんです!

黒い帽子とスーツをビシッと着て、杖をついて、威厳たっぷり。

おなかがデップリ太ってて、貫禄バツグンでした。

お年玉も、ダントツのトップでしたね〜この人が。

また、嬉しそうにくれたんだよなあ〜・・・

私もヒザの上にのせてもらって、写真撮ったこと覚えてますよ。

ええ、いいおじさんでしたね。


さて、時は過ぎて、 I おじさんも亡くなってしまいます。

何歳くらいで亡くなったのかなあ・・・

80歳くらいですか。

私が中学校くらいの時だったと思いますね。


んでもって、スーツを形見分けしてもらったんですよ。

ウチの親父は。

ウチの親父が「何でも良い」って言ったら、スーツが来たんです。

たった一着・・・

まったく、もうちょい良いモノくれてもいいのにねえ・・・


さて・・・年月が過ぎて、私が20になろうとしてた時です。


ウチの親父が借金もぐれになったんです。

仕事の失敗、バブルの崩壊・・・その他、いろいろな事が重なった挙句の出来事でした。


んでもって、私は学校辞めて、親父の借金の返済に追われる事となりました。

けっこうな額でしたが、私はあんまり悲壮感はなかったんですよ。

まだ若かったからですね、きっと。

ぶっちゃけ失敗しても、夜逃げすりゃいいくらいに思ってましたからね〜。

毎晩、「夜逃げの時には何持って逃げようか?」なんて、考えてましたからね。

若かったよなあ・・・あの頃は・・・


で、私が24歳くらいの時、長男坊が結婚式を挙げる事になったんです。




当時、私達は貧乏のどん底にいました。

毎月の支払いに耐え切れず、長年住んでいた家を売り払い、

借家を借りる金も尽きてしまい、仕事場の事務所の一部屋で全員ザコ寝してましたから。

夏はエアコンもなくて、あっちかったよなあ・・・


んでもって、交通費くらいしかなかったんです・・・結婚式場までの。

本音を言うと、結婚式に出る時間も働かなきゃダメだったんです。

しかし、結婚式くらいはねえ・・・意地でも出なきゃ。


お祝い金なんて、とても出せる状況じゃありませんでした。

いつも、お金が足りない状態でしたからねえ・・・手形の返済で。


私はこの時、

「本当の貧乏というのは、金が無いんじゃなくて、金が足りない事なんだ」

って心底思い知りましたよ。


長男坊も家の事情を知っていましたから・・・

「とにかく、恥ずかしくない格好で来てくれたら、それでいいから」

といわれました。



で、問題は礼服。

私と親父はあったんですが・・・次男坊が無かったんですよ。


まあ、その時代でも、ムジンクンとか、あったことはありました。

しかしそれだけは、意地でも出来なかったですね。

ただでさえ、毎日サラ金に追い立てられていたので、憎しみの感情が先にたってしまうんです。

んでもって、ど〜するか?と思ってた矢先に見えたのが・・・





ええ、みんなで話してる時・・・ちょうど話してる部屋にかかってたんです。

何も言わずに・・・スーツが一着・・・


ウチの親父が、






と言ったんです。

私も I おじさんが金持ちだった事は知ってるし、お洒落だったのも知ってました。

しかし・・・

今、目の前にあるスーツは、エンジとグレーの・・・どう考えても、かなり昔のスーツ・・・


I おじさんが亡くなって、10年・・・

その時、80歳だったと考えたら・・・

せいぜいスーツ作るのは、60歳までのはず・・・


そう考えたら、最低30年は経っている計算になります。





かすかな期待があったんでしょうね〜。

わらにでもすがるような・・・


そしたら・・・

・・・

・・・

・・・

続きは後編で。


ばい しんどばっと ・・・・・2005/03/01・ホームページ一周年記念より
---ファッション論考---
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し ゃ れ ど う
1:ライカの綿シャツ
2:ラム革のハーフコート
3:スペインなシャツ
4:「大丸」で買ったセーター
5:アメリカ屋のシャツ
6:ラコステのソックス
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9: I おじさんのスーツ(前編)
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---思い出の一着・ I おじさんのスーツ---
I おじさんの形見のスーツでした。
「ふむ・・・ I 兄さんはお洒落な人だったから、きっとこのスーツも良いスーツだろう。

 今考えたら、H(次男坊)と、体型が一緒くらいだから、コレ着てみれば?」
私  「うう〜ん・・・ま、いっか・・・着るだけでも、着てみたら?」
7:福袋で買ったブラックコート
8:銅色のウィンドブレーカー
9: I おじさんのスーツ(前編)
10: I おじさんのスーツ(後編)
11: I おじさんのスーツ(あとがき)
ウィンストン・チャーチル
うああ!めっちゃ似てる! I おじさんに!(笑)

第二次世界大戦時のイギリスの元首相です。
彼がイギリス首相になってなかったら、今の世界はかなり様変わりしたかもしれませんね。

彼に対する評価は非常に様々なのですが、
少なくとも彼がいたからこそ、
連合国は勝利したのだとは思いますねえ・・・

いやー・・・しっかし・・・

ウチの兄貴もこんな感じになるのかなあ(笑)
注1