テンセル・・・一時、大ブームを起こしたこの素材も、最近はナリを潜めてますね〜

テンセルは、再生セルロース繊維。

つまりレーヨンと、原料は同じってわけ。

ただ、レーヨンと違うのは、その製造過程ですね。

レーヨンと呼べるのは、ビスコース法で製造されたセルロース繊維のみなんです。


テンセルは再生繊維にも入らない、半合成繊維にも入らない、合成繊維にも入らない

ですから         と表記される事になります。


さて、テンセルは、何故テンセルなのか。

それはテンセルという会社が作った繊維だからです。

しかし・・・別の本には・・・

イギリスの総合メーカー・コートルズ社が開発したって書いてあるんだよなあ・・・

どっちが本当なのかしら?


テンセルは、レーヨンの代用品と言えると思います。

1:水に濡れても、大丈V

2:テンセルはレーヨンほど綺麗な色が出ない・・・つまり高級感に劣る

3:テンセルはレーヨンほど綺麗なドレープが出ない・・・やっぱり高級感に劣る

4:テンセルがレーヨンより、毛羽立ち感がある・・・どうしても高級感に劣る。


しかし、これも最近は欠点と言うべきなのか、長所と言うべきなのか、わからなくなってきました。

つまり服地は、高級感があればいいってもんじゃなくなってきたからです。


これは政治が主に関係していますね。


第二次世界大戦以降、世界には民主化の波が押し寄せていきました。

何と言っても、その急先鋒はアメリカです。

アメリカンファッションは、基本的に身分差を無くす方向性に向かっています。

それが顕著に見られるのは、デニム(ジーンズ)と、スーツです。


デニムは素材的に見れば、一番ボロイ(大量生産できる)素材なんです。

今や、男もデニム、女もデニム、子供もデニム、老人もデニム・・・

まさにファッションの画一化によって、服装による身分差は無くなってきました。


また、アメリカンスーツはどうでしょうか?

アメリカンスーツは、基本的にルーズスタイル。

この、肩幅の広い、かつ、ウエストを締めない、作業着のようなスーツは、

大量生産にもってこいのスタイルです。

いちいち人の体の線に合わせなくていいからです。


さて・・・

こうなると、下手に高級感のある素材は、行き場所を無くします。

ええ、つまりこれは「流行」ですね?

高級感のある素材が、流行らなくなったんです。


ここで、デザイナーは、考えるわけですよ。

じゃあ・・・高級感の無い素材で、服を作った方が、売れるんじゃないか・・・

もしくは、今のファッショントレンドにマッチするんじゃないだろうか・・・と。


というわけで、テンセルの使用感のある?

(毛羽立ちがある、色がくすんでる、だらしないドレープが出る)

感じがウケたってわけです。

これは・・・古着の発想に似てるところがありますね。


有名なのは、コム・デ・ギャルソンの川久保玲ですね。

彼女は、生地の使用感・・・ん〜・・・

それだけじゃありませんが、

古臭いオパール加工に新しい意味を作り出したと言っても過言ではないかと。


はっきり言って、絹(シルク)のウォッシャブル加工なんてね〜

なかなか思いつかないですよねえ・・・

あ、ちなみに、これは絹(シルク)をガシガシに水洗いした加工なんですが・・・


絹(シルク)は光沢感があってナンボの素材です。

しかし、水洗いしてガシガシ擦ると、表面のフィブロンが落ちて、光沢感がナッシングになります。

すると絹(シルク)としては、もうダミ・・・それが世の中の常識でした。

が、

「光沢感が無くても、それはそれでいいじゃな〜い?」

ってのが、川久保さん的意見なんです。

ん〜いいですね!

そのオリジナリティー溢れる発想。


ちょいと横道にそれた気がしますが、テンセルの生地の特性がわかっていただけたかと思います。

つまりテンセルのキーワードは、「使用感」です。

レーヨンを使い古したような素材・・・それがテンセルですね。

ま、これは極端な意見かもしれませんがねw


あと、テンセルは非常に地球に優しい化学繊維といえます。

製造工程がシンプルで、薬品をほぼ100%回収できて、しかも土に還る繊維だからです。

まあ・・・でもねー・・・

化学繊維という時点で、地球に優しくは無いと思うんだけどねー・・・


ばい しんどばっと  ・・・・・2005/10/15より
・・・リンクマップ・・・
---ファッション論考---
Link map
し ゃ れ ど う
Material
---素材・テンセル---
18:テンセル・・・かつてのヒット素材も・・・
Top pageへ戻る
服の素材、服地について
--Fashion--
ファッション論考
--Textile and material--
--Top page--
Material
1:綿(コットン)
2:麻(リネン・ラミー)
Material
3:絹(シルク)
4:毛(メリノウール)
5:毛(カシミヤウール)
6:毛(アンゴラウール)
Material
7:ビスコース・レーヨン
天然繊維・植物系
天然繊維・動物系
化学繊維・再生繊維
8:ポリノジック・レーヨン
9:キュプラ
Material
10:アセテート
11:トリアセテート
12:プロミックス
Material
13:ポリエステル
14:アクリル
15:ナイロン
化学繊維・半合成繊維
化学繊維・合成繊維
16:ビニロン
17:ポリウレタン
Material
18:テンセル
19:リヨセル
Material
20:ステンレス
指定外繊維
金属糸
指定外繊維
注1
テンセル
テンセル素材の服は、
その価値観が難しいです。

これは、テンセルの価値が
いまだ定まったところにない
ことが挙げられます。

正直、私もテンセルの服を
高級品扱いすべきなのか、
並み品扱いすべきなのか、
わっかんないんですよねえ・・・

レーヨンみたいに、
クリーニングしないとダメな素材なら
高級品扱いするんだけど(笑)
注2
川久保玲
コムデ・ギャルソンの
オーナー兼デザイナー。

黒を基調にした服が有名ですが、
この人は、なんか世界観が
独特ですね。


三宅一生(イッセイ・ミヤケ)
山本耀司(ワイズ)と共に
「日本デザイナー界の御三家」
といわれる。

 
後にブランドで後述の予定